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ふるさと自慢・風景 8

辻の「刻みたばこ」

―辻水力発電所と3億円の教育基金―

会長 岡本哲治

 

 江戸時代(天明)から明治30年代まで約120年間、わたしが生まれ育った辻町は刻みたばこ産業で繁栄し、明治37年の記録では工場数80前後、工員約1,500人で、最大の工場では年商37万円(110億円)、純益8万円(25億円)だったそうです。このような繁栄の中で、教育こそ産業発展の基であると、刻みたばこ業者67名が1万円(3億円)を教育基金として町に寄付したそうです。井川町が教育の町として伝統を誇っているのはこれが基礎となっています。井川町辻小学校の正門横にはこのことを記した記念碑が建っています。

 またさらに、辻町の刻みたばこ業者12名が資本金7万円(現在の約21億円)をつぎ込み、1908年(明治41年)に徳島県初の水力発電所「辻町発電所」を建設し、辻町と池田町の約600戸に初めて明かりがつきました。この頃四国では、約23,000 戸にしか電気が来ていなかったそうですから、いかに早くこの地域で電気がついていたかがわかります。  

 発電所の建物は、三好郡初のレンガ造りの近代的建築だったそうで、それら建物は現在は残っていませんが、取水口や水路の跡は今でも残っていて、わたしが子供の頃は水路で遊んだ記憶があります。

 

 今は昔、今から110年以上前の話でした。

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三好市井川町流堂の水力発電所

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