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ふるさと自慢・風景 6

                                    第十番札所 切幡寺

 四国八十八ケ所第十番札所切幡寺(きりはたじ)は、阿波市市場町にあります。鬱蒼とした山道に続く三百三十三段の石段を息を切らしながら登ると、古めかしくも威風を放つ本堂に至ります。

 本堂左手にある二重の塔(大塔)は、近世初期の建物で、豊臣秀頼が創建したものを明治初年の廃仏毀釈の際に移築したものと言います。国指定重要文化財で、国宝のない徳島県にあっては最も重要な文化財の一つです。ここからの吉野川、四国山脈の眺めは絶景です。

 市場町で少年時代を過ごした私にとって切幡寺と言えば、春秋の彼岸の中日に催される祭礼に立つ市が何よりの楽しみでした。参道にずらりと並んだ露店でお菓子やおもちゃを買ってもらって大はしゃぎした幼い日の思い出は、まだ貧しかった農村での貴重な晴の日の思い出として記憶に残っています。

                                           (妹尾好信 ひろしま徳島県人会理事)

5693(切幡寺本堂).JPG
5698(切幡寺大塔).JPG

※写真は「徳島県観光情報サイト阿波ナビ」より引用しました。

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